【内覧会レポ】俳優 ・アーティスト のん が登壇!「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-」2025年7月31日(木)〜国立民族学博物館(みんぱく)にて開催!

みなさん、こんにちは。
大阪関西国際芸術祭実行委員会(株式会社アートローグ内)は、俳優‧アーティスト のん が手がける「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-」を黒川紀章建築の国立民族学博物館(特別展示場地下会場)で2025年7月31日(木)〜10月13日(月)の期間で開催します。それに先立ち、メディア向け内覧会が開催されました。
Contents
内覧会では、俳優 ・アーティスト のん が登壇!
内覧会では、俳優 ・アーティスト のん が登壇されました。
はじめに
のん「「リボンアート」と題して、私はこれまで何年もリボンを使ったアートを追求してきました。今回の展示は、その中でも「怪しくて可愛いもの」をテーマに、「群れる群れる」というサブタイトルをつけて準備しました。「群れる」という行動は、人間も動物も共通して行うものですが、それをアート作品に適用したときに、どう見えるのか。それを表現したいと思いました。「何かを感じるのではないか」という思いを信じて、今回の作品を制作しました。」
展示の見どころについて
のん「今回の注目ポイントのひとつは「こけし灯籠」です。これは東北・青森のお祭りで使われるこけし型の灯籠をもとに、10体を新しくデザインしました。地元の職人さんとコラボして制作したもので、夏の花や果物をモチーフにした、夏らしいデザインに仕上がっています。初めて「こけし灯籠」をデザインしたときは、リボン(特に蝶結びのリボン)との組み合わせを考えていましたが、今回は別のモチーフを取り入れ、より“夏”を感じさせるデザインにしました。一見すると、正面から見る作品はとても可愛らしく見えますが、背面に回ると、リボンが濡れているような表現がされていて、そこが怪しくもあり、この展示の魅力のひとつでもあると思います。」
こけしシリーズについて
のん「このシリーズは、もともと古民家での展示の際に制作された作品です。最初はその一室を作品で埋め尽くすことで、怪しくて不気味な可愛らしさが表現できるのではと思って作っていました。今回は、「群れている」というテーマを表現するために、空間全体を埋め尽くすのではなく、ギュッと凝縮されたような構成にしています。そうすることで、“群れている”ような雰囲気が浮き上がってくると感じています。」
展示場所について
のん「今回の展示場所は民俗学博物館ですが、この場所と空間を共有しながら作品を見せたいという思いがありました。そこで日本の伝統工芸品とのコラボレーション展示を用意しました。
また、私は兵庫県出身ですが、この民博に来るのは今回が初めてです。昨日少しだけ見学させていただいて、非常に感動しました。太陽の塔も間近で見られて、本当に心を打たれました。民博の展示も、沖縄や東北、日本各地のお祭りなど、地域の繋がりが感じられてとても興味深かったです。もっと時間をかけて、じっくり見に来たいと思いました。」
映画「リボン」からの影響について
のん「映画『リボン』は私が監督・脚本・主演・編集すべてを務めた長編映画です。コロナ禍で卒業制作展が中止になった美大生が主人公で、その中に渦巻く葛藤や負の感情を、リボンという可愛いもので表現できないかと思い立ったのがきっかけでした。
感情は本来、抑え込むべきものではなく、怒りや悲しみ、悔しさなども大切なもの。それらをリボンで視覚的に表現することで、可愛く、ポジティブな形に昇華できるんじゃないかと考えました。映画の中でリボンを貼り付けた絵を描くシーンがあり、そこから今回の「怪しくて可愛いもの」というコンセプトが生まれています。」
幼少期の原体験について
のん「私は山に囲まれた地域で育ちました。夜は街灯も少なく、真っ暗になることが日常でした。そういった暗闇や静けさに自然と親しみを持つようになったと思います。
また、寺の娘さんと友達になり、寺に通っていた経験もあります。山の中にある寺には独特の雰囲気があり、怖いけれども美しい、というような印象がありました。熊や鹿といった生き物も、遠目では可愛くても、実際は危険な存在。そういった「可愛いけど怖い」感覚が、私の中に自然と根付いているのかもしれません。怪談や妖怪も好きで、語り部の話を聞いたり調べたりすることもありました。岡本太郎さんのように、不気味だけど魅力的な表現をするアーティストに強く惹かれます。そういった要素も今回の展示に反映されていると思います。」
来場者へのメッセージ
のん「今回の「怪しくて可愛いもの」展は、民俗学博物館という空間にインスパイアされて準備しました。展示を見る前後に、ぜひ民博の展示も見ていただけたら、この世界観により深く浸ってもらえると思います。夏の暑い時期ですが、少し“ゾッと”しながら楽しめるような、不気味だけど可愛い作品群を用意していますので、ぜひお越しください。」
俳優‧アーティスト。兵庫県出身。
音楽、映画製作、アートなど幅広いジャンルで活動。
2022年2月に自身が脚本、監督、主演の映画作品「Ribbon」を公開(第24回上海国際映画祭GALA部門特別招待作品、新藤兼人賞 最終ノミネート)。
映画「さかなのこ」で、第46回日本アカデミー賞「優秀主演女優賞」、第32回日本映画プロフェッショナル大賞「主演女優賞」を受賞。
2024年12月、主演映画「私にふさわしいホテル」公開。
2025年2月、DMMTVでの実写ドラマ「幸せカナコの殺し屋生活」公開。
同年4月、Netix映画「新幹線大爆破」、9月4日にNetixシリーズ「ポケモンコンシェルジュ」、9月29日より、ABEMAオリジナルドラマ「MISS KING / ミス‧キング」配信予定。
10月31日、映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」公開予定。
音楽活動では、2025年9月、3rdフルアルバム『Renarrate』をリリース予定。同月にアルバムツアーで全国4都市を回る予定。
また、俳優‧音楽‧映画‧アートといった枠にとらわれず、自由な表現に挑み続けてきた創作活動が評価され、2024年に第16回伊丹十三賞を受賞。
のん Ribbon アートについて
■二面性の表現
のんのリボンアートの最大の特徴は、可愛らしさと不気味さが共存する二面性にあります。リボンは一般的に可愛らしさや装飾性を象徴する モチーフですが、のんの作品では不気味さや暗さも併せ持つ複雑な表現となっています。この相反する要素の融合が、作品に独特の魅力と 深みを与えています。
■多面的な解釈
のんは、リボンアートが見る人によって異なる印象を与えることを意図しています。ある人には可愛く見え、別の人には不気味に感じられる という多面的な解釈の可能性を重視しています。この多様性が、作品の奥深さと観る者の想像力を刺激する要因となっています。
■伝統との融合
最近の作品では、東北の伝統工芸品とのコラボレーションも試みています。こけし灯籠や赤べこなどの伝統的なモチーフにリボンを組み合わせることで、古典と現代アートの融合を実現しています。この試みは、日本の文化的要素を現代的な視点で再解釈する新しいアプローチ として評価できます。
■空間との調和
のんのリボンアートは、展示空間との調和も重要な特徴です。和室や古民家など、日本の伝統的な空間に作品を展示することで、リボンアートと和の空間が溶け合う独特の雰囲気を創出しています。この空間演出は、作品単体だけでなく、環境全体を含めた総合的なインスタレーションとして芸術体験を提供します。
■感覚的アプローチ
のんは創作において、理性的な判断よりも感覚的なアプローチを重視しています。「好き」という感情や五感を刺激する体験を大切にし、皮膚感覚を動かすような作品づくりを目指しています。この感覚的なアプローチが、観る者の本能的な反応を引き出す要因となっています。 のんのリボンアートは、単なる装飾的な作品を超えて、観る者の感情や解釈を揺さぶる力を持っています。可愛らしさと不気味さの共存、伝統と現代の融合、空間との調和など、多層的な要素を含む彼女の作品は、現代アートの新しい可能性を示唆しているといえるでしょう。
可愛さと不気味さ「のん」のマルチな対極主
本展キュレーター 仲野 泰生 (京都場館長、元川崎市岡本太郎美術館学芸員)
1970年日本万国博覧会のテーマプロデューサーだった岡本太郎はテーマ館として《太陽の塔》を作りました。《太陽の塔》は70mの巨大な建造物。内部には41mの「生命の樹」があり、292体の生命体が配置されています。地下展示室には世界中からの仮面や神像が東京大学と京都大学の若き文化人類学者たちによって収集されました。地下展示室に集められたこれらの民族資料が現在の国立民族学博物館の基幹資料となりました。
岡本太郎は約2500点の資料の中に岡本太郎自身の作品を一緒に展示。その中に岡本太郎の対極主義の思想を具現化した立体作品《NON》もありました。
今回、のん が《太陽の塔》の裏側に位置する国立民族学博物館で展覧会を開催します。本展のメインとなる作品は「こけし」です。《背中に結んだリボン(こけし灯篭)》は仙台PARCOで展示された作品。この春に民博のエントランスにその作品5体が展示され、来館者から多くの好評の声をいただきました。今夏の展覧会ではこけしの新作が10体追加され15体の《こけし灯籠》が黒い空間の中に揃い並びます。のん の《こけし灯籠》の作品は正面から見ると伝統的なこけしの形をしています。しかし、こけしの背面には赤い幾つのもリボンが貼り付いているのです。このリボンの群れは私たちにゾワゾワとした感覚、皮膚感覚を与えます。
こけしのデザインは のん 自身が描いたもの。今回そのデザイン画(原画)も出品されます。彼女の発想の源を見ることができると思います。正面からの可愛いこけしの背面には不気味な赤いリボンの群れ。可愛いの裏側には不気味さが。
《太陽の塔》の作者である岡本太郎はパリ時代に赤いリボンを付けた傷のある腕の作品《傷ましき腕》(1936年)を描いています。人間の存在は両極の要素で成り立っているのかも知れません。喜劇と悲劇、抽象と具象、そして可愛いと不気味さ。岡本太郎はその相反する考えを対極主義として自身の考えの根幹にしていました。
今回の のん の《のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-》はマルチな才能を最近ますます発揮している彼女の新たな対極主義なのかも知れません。
民博は世界の民族資料の宝庫です。こけしのコレクションもあります。のん のこけしの世界観と、民博のこけしを観て比べるのも面白いかも知れません。2025年の大阪万国博覧会の時に1970年万博の象徴であった《太陽の塔》のお膝元の民族学博物館で のん の展覧会を行う意味はとても大きいと思います。
「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」後半に向けて のん のインスタレー ション作品が大きく拡張
国立民族学博物館は、4月13日から開催しているStudy:大阪関西国際芸術祭 2025の展示会場のひとつです。同館の創設50周年記念特別展「民具のミカタ博覧会―見つけて、みつめて、知恵の素」の協力事業の一環として、1階エントランスで展示してきた《背中に結んだリボン(こけし灯篭)》を本芸術祭の会期後半に向けて特別展地下会場に大きく拡張するものです。
のんがこれまでモチーフとしてきた、こけしや赤べこ、白べこ、七夕の飾りは、日本各地で古くから民具として受け継がれてきた造形物であり、作品を通して民具が将来に受け継がれていくための新たなミカタを作り出します。7月31日からは「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる」として、背中に赤いリボンが多層に張り付く10体の新作を含む15体もの《こけし灯籠》が黒い地下空間の中に揃い並ぶ大規模なインスタレーションを展開します。《ちょうちょを纏った、白べこ》、《真っ赤童の巣『視線』》、《背中、ちょうちょの巣》ほか「可愛くて、不気味」な のん のリボンアートの世界が繰り広げられます。
1970年大阪万博と2025年大阪‧関西万博が時代を超えてアートで接続
1970年日本万国博覧会のテーマプロデューサーだった岡本太郎はテーマ館として《太陽の塔》を作りました。《太陽の塔》の地下展示室には世界中からの仮面や神像が東京大学と京都大学の若き文化人類学者たちによって収集されました。《太陽の塔》に集められたこれらの民族資料が現在の国立民族学博物館の基幹資料となりましたが、岡本太郎は約2500点の資料の中に岡本太郎自身の作品を一緒に展示。その中に岡本太郎の対極主義の思想を具現化した立体作品《NON》もありました。
国立民族学博物館(みんぱく)は、文化人類学‧民族学とその関連分野の大学共同利用機関として1974年に創設され、1977年に大阪‧千里の70年万博跡地に開館しました。建築設計は黒川紀章です。
岡本太郎の《太陽の塔》のある万博記念公園内の本会場は、1970年の大阪万博と2025年の大阪‧関西万博を、大阪関西国際芸術祭を通して時代を超えて接続する象徴的な場となります。
7月31日からは、新たに「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-」として、のんが築き上げてきた「可愛くて、不気味」なリボンアートの世界が、岡本太郎の対極主義と呼応するかのように、さらに拡張された展示をご覧いただくことができます。万博記念公園内の《太陽の塔》(要事前予約)、国立民族学博物館の世界各地から収集されたコレクション、そして、Study:大阪関西国際芸術祭 2025の各会場を巡ってお楽しみください。
プロウンカクテル編集部後記
タイトル通り、怪しくて、可愛いものたちの群れを感じる展覧会です。特別展地下会場に展示されているのも雰囲気があり良かったです。
個人的にまるで頭巾をかぶっているような《こけし灯籠》がお気に入りでした!貴重なエスキースを鑑賞できたのも嬉しかったです。のん が創りだす世界観に惚れ込みました…!本当にマルチタレントですね。
「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-」は、2025年7月31日(木)〜10月13日(月)まで、国立民族学博物館(みんぱく)の特別展地下会場にて開催されますので、ぜひ、チェックしてみてくださいませ。
「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-」:開催概要
イベント名称:Study:大阪関西国際芸術祭 2025
展示名称:のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-
アーティスト:のん
キュレーター:仲野 泰生(京都場館長、元川崎市岡本太郎美術館学芸員)
会期:2025年7月31日(木)〜10月13日(月)
公式HP:https://osaka-kansai.art/
展示会場:国立民族学博物館(みんぱく)(大阪府吹田市千里万博公園10-1)
(特別展地下会場で展示しています。)
(みんぱくについて https://www.minpaku.ac.jp/)
協力:東京リボン
料金:有料
「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」チケット、もしくは国立民族学博物館のチケットが必要です。
「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」チケット購入について
ネットでの購入もしくは、みんぱくショップでの購入が可能です。
チケット購入:https://osaka-kansai.art/pages/ticket
※万博記念公園(有料)への入園について
‧「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」チケットもしくは国立民族学博物館のチケットをお持ちの方
は、万博記念公園内を無料で通行できます。万博記念公園各ゲート有人窓口で「Study:大阪関西国際
芸術祭 2025」チケットをご提示いただき、通行証をお受け取りください。
‧万博記念公園をご利用になる場合は、同園入園料が必要です。
※国立民族学博物館の観覧料割引
‧国立民族学博物館の券売所で「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」チケットをご提示いただくと、本
館展示を割引価格(団体割引)で観覧いただけます。

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