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2025.02.15

【内覧会レポ】特別展「カナレットとヴェネツィアの輝き」 会期/2025年2月15日(土)~4月13日(日) 会場/京都文化博物館 4・3階展示室

2025年2月15日(土)〜4月13日(日)の期間、京都文化博物館にて特別展「カナレットとヴェネツィアの輝き」を開催します。それに先立ち、記者説明会とプレス内覧会が開催されました。

ヴェネツィアを訪れたイギリスの貴族たちが旅の記念にと争うように買い求めたのが、18世紀を生きた画家・カナレット(1697-1768)のヴェドゥータ(景観画)です。輝く水面に整然とした建築物、祝祭的な雰囲気など、ヴェネツィアに対する理想的なイメージは、雄大さと緻密さを併せ持つカナレットのヴェドゥータを通して定着していきました。
本展は、ヴェドゥータの巨匠・カナレットの全貌を紹介する、日本初の展覧会です。カナレットが描く壮麗なヴェネツィアの景観を通して、ヴェドゥータというジャンルの成立過程をたどるとともに、カナレットとは異なる眼差しでヴェネツィアを捉えた19世紀の画家たちの作品もあわせてご紹介します。

京都文化博物館 学芸課長 洲鎌佐智子氏

京都文化博物館 学芸員 清水智世氏

記者説明会では、挨拶を京都文化博物館 学芸課長 洲鎌佐智子氏が、概要説明を京都文化博物館 学芸員 清水智世氏がご担当されました。

Contents

展覧会の3つのみどころ

1.日本初!ヴェドゥータ(景観画)の巨匠、カナレットの大規模展

都市や名所を精密に描いた景観画「ヴェドゥータ」が発展したのは、18世紀のことです。カナレットの描くヴェドゥータはヴェネツィアを訪れた旅行者から熱烈に愛好されました。本展はヴェドゥータの巨匠として知られるカナレットの画業を紹介するとともに、ヴェドゥータの歴史的展開をまとめてご紹介する日本初の展覧会です。

2.カナレットが記録したヴェネツィアの輝き

カナレットが生きた18世紀、グランド・ツアーと呼ばれる旅行が最盛期を迎えました。その目的地であったヴェネツィアを訪れた旅行客が、旅の記念にと争うように求めたのが、カナレットの絵画だったのです。大運河の水辺からたちあがる壮麗な建築や輝く水面、祝祭の景色など、旅行者の求める理想的なヴェネツィアを描き、人気を博しました。

3.モネ、ホイッスラーも愛した水の都ヴェネツィア

カナレットが緻密に、かつ意図的な操作を重ねながら描き出したヴェネツィアの景観は、カナレット以後も、多くの画家たちを魅了し続けます。ホイッスラーにブーダン、シニャック、そしてモネに至るまで、外国から訪れた画家たちもまた、聖俗が同居する魅力的な都市ヴェネツィアの姿をカンヴァスに表現しました。

カナレット(Canaletto, 1697–1768)
1697年、劇場の舞台デザイナー兼舞台背景画家を父に、ヴェネツィアに生まれる。本名ジョヴァンニ・アントニオ・カナル。1719年、父に伴い、オペラの舞台デザインの仕事のためローマに赴き、景観画家の先達と知り合ったと言われる。出身地ヴェネツィアの都市景観を、壮麗かつ緻密に描いた景観画「ヴェドゥータ」で名を馳せる。1746年からはパトロンのいる英国に長期滞在した。1768年、ヴェネツィアで没する。享年71歳。

全5章での展開

Chapter1
カナレット以前のヴェネツィア

ヴェネツィアのイメージを、カナレット以前に描かれた作品を通して辿ります。ヴェネツィアにおける都市を描く伝統は、15世紀にまで遡ります。遠近法の成立が都市景観に対する関心を高めたことで、「鳥瞰図」や「物語絵」として、都市のイメージが客観的に再現されるようになりました。その後16世紀末から17世紀にかけて北方からやってきた画家たちの描くラグーナ(潟)の景観が、後のヴェドゥータの発展へと繋がっていきます。一方、18世紀、時代を代表する画家として国際的に活躍していたのが、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロでした。彼の作品を通じて、カナレットが活躍した18世紀のヴェネツィアの文化を紹介します。

Chapter2
カナレットのヴェドゥータ

カナレットがヴェドゥータを描き始めたのは、1719年頃とされています。光と影の効果を追求した初期作品からは徐々に変化し、1730年には、澄み渡る空や輝く水の波紋の表現、定規を用いて堅固さを強調した建物の描写など、カナレットの定型的な表現が定着していきました。ヴェドゥータ本来の主役ではない人物描写もまた、カナレットの特徴です。様々な仕草をした人々の姿が整然とした街の景観に動きを与えると同時に、観る者を飽きさせない魅力の一つとなっています。カナレットのヴェドゥータは、目に見える景観をそのまま再現しているわけではありません。ありえない建物の組み合わせや、景観を描く視点の高さを工夫することで、人々が「見たいと思っている風景」を画面にとどめることに成功しました。

Chapter3
カナレットの版画と素描

素描や版画、そしてカメラ・オブスキュラをキーワードに、カナレットの創造の秘密を探ります。写真がまだ存在しない時代において、複製を可能とする版画は、極めて価値のあるメディアでした。1735年に刊行された『ヴェネツィアのカナル・グランデの景観』は、カナレットの原画を元にアントニオ・ヴィゼンティーニが彫版した作品集で、カナレットのパトロンであるジョゼフ・スミスが企画しました。発注のための見本帖だったために、機械的で規則的な手法で制作されています。一方、カナレットが自刻した版画作品は、より自由な、独自の筆致を残しています。素描もまた、油絵にはない、より自由な画家の手の痕跡を伝えます。

カメラ・オブスキュラ

カメラ・オブスキュラ(Camera Obscure)とは、光学の原理を利用して外の景色を投影する装置で、今日の「カメラ」の語源となりました。投影された景色は反転していますが、そのイメージをなぞると、正確な遠近法を用いて描くことが可能となります。カナレットは、カメラ・オブスキュラを用いて制作した画家の一人でした。

カメラ・オブスキュラを体験できるコーナーも!

Chapter4
同時代の画家たち、後継者たち─カナレットに連なる系譜の展開

カナレットの影響を受けた同時代の画家たちと、英国の後継者たちが制作したヴェドゥータとカプリッチョ(綺想画)をご紹介します。ベルナルド・ベロットやフランチェスコ・グアルディは、カナレットの影響のもと、異なるアプローチによるヴェドゥータを数多く制作しました。カナレットの甥ベロットは、後にドレスデンやワルシャワで宮廷画家としての立場を獲得します。残されたベロットのヴェドゥータは、第二次大戦後、空襲で破壊された二つの街の再建に大きく寄与することになりました。カナレットの約10年間に及ぶ英国滞在を通して、英国でもまた、カナレットの影響を受けた画家によるヴェドゥータが多数制作されます。それらは同時に、カナレットによるヴェドゥータの独自性を浮き彫りにするものでもあるでしょう。

Chapter5
カナレットの遺産

最後に、風景画の世紀とも言われる19世紀にヴェネツィアはどのように描かれたのか、英仏の画家たちに焦点をあわせて、その変遷を辿ります。カナレットが定着させたヴェネツィアの「絵になる」イメージは、多くの画家たちをも魅了します。19世紀後半の印象派の萌芽を感じさせる作品の存在に気付かされる一方で、当時のロマン主義的な潮流を背景に、ヴェネツィアの暗部を描き出す作品も登場します。それはカナレットが導いたヴェドゥータの世界とは異なる、極めて近代的なヴェネツィアのイメージでした。同時に、この都市を描きたいという憧れは、カナレットのヴェドゥータに端を発するものであることもまた確かでしょう。

展覧会オリジナルグッズが素敵!京都展限定展覧会にちなんだイタリア伝統菓子の販売も!

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私は、STUDY優作さん コラボグッズを一個人として購入いたしました。ゆる可愛い水の都ヴェネツィアのイラストに癒されます。

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イラリア食材や雑貨もあり、まるでヴェネツィアを旅行した気分にもなりました。

京都文化博物館にて2025年2月15日(土)〜4月13日(日)まで開催!お見逃しなく!

カナレットの描く水の都ヴェネツィアは美しく精密で大変見応えがありました。遠距離から至近距離から、様々な距離や角度でじっくりとご高覧いただきたいです。
また、カナレット視点だけでなく、モネ、ホイッスラーなど他の画家視点の水の都ヴェネツィアのヴェドゥータ(景観画)もあり、見比べるのも楽しく、一度に鑑賞できる大変贅沢な展覧会となっています。

そして、3月22日(土)~30日(日)の期間は、【春休みこども無料ウィーク】で小中高生の方は本展を無料でご覧いただけますので、この機会にこどもたちにもヴェネツィアの美しさ、本物の芸術に触れていただければ嬉しいです!
*入場時に学生証をご提示ください。

特別展「カナレットとヴェネツィアの輝き」は、京都文化博物館にて2025年2月15日(土)〜4月13日(日)まで開催。是非お見逃しなく!

開催概要

[展覧会名]
カナレットとヴェネツィアの輝き

[会 期]
2025年2月15日(土)〜4月13日(日)

[会 場]
京都文化博物館 4・3階展示室 [〒604-8183 京都府京都市中京区三条高倉]

[開室時間]
10:00〜18:00(金曜日は19:30まで)※入場はそれぞれ30分前まで

[入場料金(税込)]
一般 1,800円(1,600円)|大高生 1,200円(1,000円)|中小生 600円(400円)
※( )内は20名以上の団体料金。
※未就学児は無料(ただし、要保護者同伴)。
※学生料金で入場の際には学生証をご提示ください。
※障がい者手帳などをご提示の方と付き添い1名までは無料。
※上記料金で2階総合展示と3階フィルムシアターもご覧いただけます(ただし催事により別途料金が必要な場合があります)。

[休館日]
月曜日(ただし2月24日は開館)、2月25日(火)

[主 催]
京都府、京都文化博物館、毎日新聞社、MBSテレビ、スコットランド国立美術館

[後 援]
駐日イタリア大使館、ブリティッシュ・カウンシル

[協 賛]
DNP大日本印刷、大和ハウス工業

[特別協力]
イタリア文化会館-大阪

[協 力]
日本航空、日本貨物航空、箱根ガラスの森美術館、ITAエアウェイズ

[お問合せ]
京都文化博物館 Tel. 075-222-0888(代表)
https://www.bunpaku.or.jp

※記載内容に変更が生じる場合があります。最新の情報は博物館公式サイトをご覧ください。
本展は,政府による美術品補償制度の適用を受けています。
This exhibition is covered by the Japanese Act on the Indemnification of Damage to Works of Art in Exhibitions (Act No.17 of 2011)

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