トップ / アート / 【取材レポ】「見えないはずなのに、そこにいる」――映画『見えない娘 THE INVISIBLES』公開記念舞台挨拶を大阪で開催!毎熊克哉&竹林亮監督が語った“見えない娘”との家族の物語

2026.08.30

【取材レポ】「見えないはずなのに、そこにいる」――映画『見えない娘 THE INVISIBLES』公開記念舞台挨拶を大阪で開催!毎熊克哉&竹林亮監督が語った“見えない娘”との家族の物語

見えない娘と旅に出る、ちょっと不思議で心温まるファミリーロードムービー

「娘は三人。ひとりは、透明。」
そんなユニークな設定から始まる映画『見えない娘 THE INVISIBLES』が、8月28日(金)より全国公開!

8月29日(土)には、大阪ステーションシネマで公開記念舞台挨拶が開催され、主演の毎熊克哉さんと竹林亮監督が登壇しました。

8月21日から東京・日比谷で先行上映が行われていた本作ですが、全国公開後の舞台挨拶は大阪が記念すべき1カ所目。
会場には映画を観終えたばかりの観客が集まり、毎熊さんと竹林監督の登場に大きな拍手が送られました。

Contents

「大阪でこの映画の公開後舞台挨拶ができてうれしい」

まずは登壇者からご挨拶。

竹林監督は、「大阪ステーションシネマさんには、2021年に『14歳の栞』というドキュメンタリー映画でお邪魔して以来、5年半ぶりぐらいに来ることができてうれしいです。今日は新しい映画を皆さんに観ていただけて光栄です。」と、大阪での舞台挨拶を迎えた喜びを語りました。

一方、今回が大阪ステーションシネマ初訪問となる毎熊さんは、「僕はここの劇場は初めてなんですけど、この映画で来られてよかったなと思っています」と笑顔。さらに、「昨日から本公開ということで、まだ東京でもやっていないこの公開後のイベントを大阪でやるということで。一発目なので、楽しい時間になればと思っています。」と、記念すべき大阪での舞台挨拶への意気込みを語りました。

出会いは雑誌の対談。「次に俳優が必要なら呼んでください」が映画出演につながった!

実は、毎熊さんと竹林監督が出会ったのは、本作の制作よりも前。毎熊さんがホストを務めた雑誌の対談で竹林監督と出会い、そこで毎熊さんが「次に俳優が必要な作品があれば、ぜひ声を掛けてください。」と話したことが、本作への出演につながったのだそう。

当時の第一印象について聞かれると、毎熊さんは、「原宿に会社があって、そこにお邪魔したのが最初で、その時に対談をさせてもらったんですけど、ほかにもいっぱいいらっしゃって。なんか、会ったことのない人たちに会ったなって感じがしました。」と振り返ります。

さらに、「皆さんちゃんとしてるんですよ。『こんなちゃんとした人たちがいっぱいいる会社に囲まれて、なんかやるんだ』っていう記憶があります。」と、当時の印象を明かしました。

竹林監督は、「もともと俳優さんなど、いろんな方にインタビューをする仕事をずっとやってきたので、俳優さんがいらして、僕にいろいろ質問をしてくれるという状況自体がすごくレアで、結構感激したんです。」と、毎熊さんとの出会いを回想。映画の話だけでなく、子ども時代になぜ映画を好きになったのか、好きな映画は何かなど、さまざまな話をしたそうです。

「世代が近いので、ほぼ同じ映画を観てきている感じがあって。だから本当に違和感なく、普通にいろいろ喋っていました。」と竹林監督。
そして、その対談からわずか2カ月ほどで、毎熊さんのもとに届いたのが『見えない娘』の脚本でした。

毎熊さんも、「本当にびっくりしました。『早いだろう!』って(笑)」と当時の驚きを明かし、会場を笑わせました。

なぜ毎熊克哉さんを“心配性のお父さん”に?

毎熊さんが演じるのは、三姉妹の父親・星野学。
娘を心配するあまり、家の中にさまざまな仕掛けを用意してしまう、心配性のお父さんです。

これまで毎熊さんが演じてきた役柄とは少し異なる印象のキャラクターですが、竹林監督は起用理由について、「毎熊さんの、僕にいろいろ質問をしてくださっている時の姿勢とか、その姿勢が、娘を思いながら心配しているお父さんというのに、すごくマッチしていくだろうなと思いました。」と説明。

さらに、「シュッとした感じもあって、毎熊さんが出てくださったらかっこいいというのは一つあって。」と、作品に新たな“顔立ち”を与えてくれる存在として期待していたことを明かしました。

一方、毎熊さんは脚本を初めて読んだ時、「宇野さんが頭に浮かびました。このお父さん役が宇野さんっていうのは、すごく合うんじゃないかなって。」と、自分自身とは少し違う役柄だと感じていたそう。「なんでこの自分にこの役を考えてくださったのかなっていうのは、すごく思いました。」と振り返りました。

「100点を120点に」毎熊克哉が作品と向き合った撮影期間

脚本を読んだ第一印象について毎熊さんは、「メインになっていく、いわゆるあらすじ的な部分が、もう絶対ぶれない面白さを持っていて。自分じゃないっぽい感じがすごく面白かったです。」とコメント。

さらに、作品への向き合い方について、「『面白い』と思ったことを、もっと面白くするにはどうしたらいいんだろう、みたいな感じでした。」と語りました。

竹林監督も、「今やっても100点みたいな面白さがあるかもしれないけど、120点みたいな、さらなる面白さを加えたいというふうにずっと言ってくださっていて。」と、毎熊さんが撮影に真摯に向き合っていたことを明かしました。

リハーサルでは、家族役のキャストたちが一緒に過ごす時間を大切にし、ファミレスに行ったり、さまざまな時間を共有したりしながら、家族としての関係性を作っていったそう。

毎熊さんは、「一緒にこう何かをやろうって言って、確かに監督のものなんだけど、この映画の良し悪しの責任は僕も半分は持たなきゃなって毎回思うんですよね。」と、俳優として作品を背負う覚悟も語りました。

CGなし!“透明人間”をどうやって撮影した?

本作最大の特徴のひとつが、透明人間である娘・ひかりを、CGなどで“見せる”のではなく、本当に姿を映さずに描いていること。

では、いったいどのように撮影したのでしょうか?
竹林監督によると、ひかり役を演じる鈴木凜子さんはリハーサルには参加。本番では姿を映さず、監督の横でモニターを見ながら、声の芝居を行うという独特の手法が採用されました。

「透明人間を映さずに、CGも使わずに、ただ映像文法として“そこにいない空白”を作る」という本作ならではの演出。しかし、そこには“見えないからこそ、ちゃんと存在を感じてもらう”ための工夫がありました。

竹林監督は、「この家族は10年ぐらい一緒に過ごしているわけですから、それぞれのイメージが一貫していることも必要だと思うし、すごく愛情がある関係性なので、それを映画の中に入れ込みたいと思いました。」と説明。

オーディションで出会った鈴木凜子さんについては、「ひかりそのもののキャラクターを体現しているような方」と感じ、リハーサルから家族と一緒に参加してもらったそうです。

「見えないけど、見える」――毎熊さんも絶賛した撮影手法

この撮影方法について毎熊さんは、「お客さんも見えないですけど、“見えないけど見える”っていう感覚になっていくためには、俳優もそうですし、カメラマンとか全員が、この子っていう共通のイメージがやっぱりあると、いなくてもその人がどんな人なのかっていうのを投げられるなって思う。」とコメント。

もし、ひかり役の鈴木さんが現場に来ず、写真だけを見て演技していたら、「みんながそれぞれ違うひかりを想像して、ちょっとずつずれた感じになったんじゃないかな。」と語り、「大成功でしたよね、このやり方は。」と竹林監督に笑顔を向けました。

一方で、本番では実際にひかり役の鈴木さんがその場にいないため、「“いる”っていう感覚がわかってるからこそ、“いないんだ”っていう再確認をしなきゃいけないのは難しかった。」とも。

見えない娘を演じるために、実際には“そこにいる存在”を全員で共有していたことが、本作のリアリティにつながっているようです。

毎熊さんが大切にしたのは「家族でいること」

特殊な設定の中で、父親・星野学を演じるうえで大切にしたことを聞かれた毎熊さん。
答えはシンプルに、「みんなでいることが一番大事」でした。「自分一人だけでお芝居のプランを立ててしたところで、結局その家族が家族でいるっていうことが一番大事だったと思うので。」と、家族役のキャストたちとの関係性を大切にしたことを語ります。

さらに、心配性すぎる父親を“ただ面白いキャラクター”として演じるのではなく、「これを実際の現実に置き換えたらどういうことなのか」ということも意識していたそう。

「透明人間って実際いないですけど、そういうような親が心配するような状況だったら、やっぱり過剰ではないような。家にあんだけ仕掛けがあっても、娘のためにとか。」と、父親の行動には現実の親子関係にも通じる“心配する親心”があると説明。「笑えるんだけど、現実に置き換えたらちゃんとしてるっていうか、嘘っぽくない。本物に見えるような重心を持っておく。」ことを大切にしたといいます。

「透明人間の存在が、だんだん愛着を持って感じられてくる」

本作の魅力を一つ挙げるなら?
竹林監督は「想像力」をキーワードに挙げました。「最初は『透明人間がいるって、なんなんだこの映画は?』と思いながら見進めると思うんです。でも、ちょっとその想像力が刺激されて、だんだん最後の方には、見えないはずの透明人間の存在が、なんとなく愛着を持って感じてきたり、『かわいらしい子だな』と思えてきたりする。」と、本作ならではの映画体験について語ります。

「ちょっとあの、想像力のトレーニングができるような映画の体験になっているなと思って。結構珍しい体験なんじゃないかなと思います。」

“見えない”ことが、逆に観客の想像力を刺激する。
本作の大きな魅力が、ここにあります。

子どもから大人まで。家族みんなで観てほしい映画

どんな人に観てもらいたいかという質問には、竹林監督も毎熊さんも「家族」という言葉を口にしました。

竹林監督は、「作っている時に、子どもから大人まで、家族で観れるような映画になればいいなと思いながら作ってきました」とコメント。さらに、「親にちょっとうるさく言われてるなって思ってる小中学生だったりとか、子どものGPSとか位置をすごく把握しなきゃ気が済まないってなっちゃってる親御さんにも観てもらいたい」と語ります。

子どもを心配する気持ちは大切。でも、その“心配”はいつまで続くのか。「高校生まで? 大学生までGPSを見るのか?」そんな親としての葛藤も、本作には込められています。

毎熊さんも、韓国のプチョン国際映画祭での上映を振り返り、「子どもが本当にいっぱい、親子連れでゲラゲラ笑いながら見ていて」と、子どもたちの反応を紹介。

さらに撮影場所で行われた特別上映では、「子どもとおばあちゃんが一緒に見てるとか、そういう状況がすごくやっぱり良くて」と語りました。「家族全員で一緒に笑って見れる日本映画って、最近そんなにやっぱりないなってすごく思うんです」という毎熊さん。「これはファミリー映画なんで、本当に子どもとお母さんとか、おじいちゃんとか、そういう感じで見てもらえたら嬉しいなと思います」と、会場の観客にメッセージを送りました。

大阪らしい質問も!竹林監督は「ネギ焼き」、毎熊さんは“幻のたこ焼き”!

舞台挨拶の最後には、大阪らしい質問も。

「大阪に来たら絶対食べるものは?」という問いに、竹林監督は、「ネギ焼きが食べたいなと思った」と回答。この日はこの後の予定があり、残念ながら食べられないとのことでした。

そして、毎熊さんは、思わず気になる“幻の大阪グルメ”の話が飛び出しました。
「天六の……商店街を歩いたら、急にちっちゃい小道みたいなところで、おばあちゃんがやってる、たこ焼きっていうか、ふわふわのなんか……280円とかで売っていて、めっちゃうまいんですよ。たこ焼きなんですけど、たこ焼きに見えないたこ焼き。」と、かなり気になる説明。

しかも、「歩いてたら急に出てきて、『負けたるわ』って言って負けてくれるんですよ。」という、なんとも大阪らしいエピソードも。
しかし、肝心のお店の名前は分からず。「もう大阪結構縁があってよく歩いてるんですけど、そこは3年前ぐらいに行って、めっちゃうまいんです。もう一度食べたいんですけど、店の名前が分からなくて……。」と、まさに“幻のたこ焼き”となっているようです。

会場も和やかな笑いに包まれ、公開記念舞台挨拶は終了。
最後はフォトセッションが行われ、登壇者が観客に笑顔を向けました。

“見えない”からこそ、家族の存在が見えてくる

透明人間の娘と、心配性のお父さん、そして二人の姉妹。
一見すると奇想天外な設定ながら、その中心にあるのは「家族を思う気持ち」という、とても身近なテーマ。姿が見えない娘を、家族は当たり前のようにそこにいる存在として受け入れている。

そして観客もまた、物語を観ているうちに、姿の見えない“ひかり”の存在を自然と感じるようになっていく。「見えないけど、見える」。そんな不思議な映画体験と、家族で笑える温かさを楽しめる『見えない娘 THE INVISIBLES』。

夏休みの終わりに、そしてこれからの家族のお出かけに、ぜひ劇場で楽しんでみてはいかがでしょうか。

映画『見えない娘 THE INVISIBLES』作品情報

作品名:『見えない娘 THE INVISIBLES』
公開:8月28日(金)、TOHOシネマズ日比谷他全国公開
素材クレジット:ⓒTHE INVISIBLES Production Committee
配給:PARCO CHOCOLATE Inc.
出演:毎熊克哉, 鈴木凜子, 近藤華, 矢山花, 寺島進, 余 貴美子, ほか
監督・共同脚本:竹林亮

ストーリー:
心配性の父と三姉妹。
娘は三人いる――ただし、そのうち一人は透明人間。
“見えない娘”とともに旅に出ることになった家族を描く、ちょっと不思議で心温まるロードムービー。
透明人間をCGで見せるのではなく、「そこにいない空白」を映像として描く独自の手法にも注目。

こんな人におすすめ!
・家族で楽しめる映画を探している人
・親子で映画を楽しみたい人
・ちょっと変わった設定の映画が好きな人
・ロードムービーが好きな人
・想像力を刺激される映画を観たい人

公開劇場:全国の劇場にて公開中
※上映劇場・上映時間などの詳細は各劇場の公式情報をご確認ください。

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