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2025.11.17

【取材レポ】つくり込みすぎないリノベの美学。MUJI×URが手がけた中宮第3団地に注目

みなさん、こんにちは。プロウンカクテル編集部です。

MUJI×UR 団地まるごとリノベーションプロジェクト
「となりのひろば」完成披露。学生と地域がつくる“団地のこれから”が中宮第3団地で始まります

UR都市機構とMUJI HOUSEが進めてきた、関西エリアの団地を“まるごと”再生するリノベーションプロジェクトが、いよいよ大きな節目を迎えました。
2023年から取り組まれてきた中宮第3団地(枚方市)と泉北茶山台二丁団地(堺市南区)の屋外共用部・集会所などの改修が完了し、11月15日、中宮第3団地にて完成お披露目イベントが開催されました。

今回のイベントでは、プロジェクトの企画・検討段階から参画してきた大阪電気通信大学の学生によるプレゼンテーションや、地域の方々を巻き込んだ“これからの団地コミュニティの姿”を考えるプログラムが行われ、団地の未来を象徴する1日となりました。

プロウンカクテル編集部が実際に、お披露目会を取材させていただきましたので、ご紹介いたします。

Contents

MUJI×URの“団地まるごと再生”とは

本プロジェクトは、MUJI×URが掲げる「既存の良さを活かし、つくり込みすぎない」というコンセプトをもとに、団地全体の魅力を再編集する取り組みです。
住戸改修だけにとどまらず、広場・集会所・プール跡地などの共用空間を、地域の声を反映しながら現代の暮らしに合うかたちへ再生する点が大きな特長です。

“~となりのひろば~”と名付けられた活動では、イベント開催や住民へのヒアリング、日常利用の検証を重ね、団地が地域に開き、暮らしに根づく空間であるための仕組みが探られてきました。

3者トップが語る「団地再生の現在地」

UR都市機構 西日本支社長・高原 功氏

高原氏は、数年にわたり協働を続けてきた本プロジェクトの成果に触れ、「団地の良さを残しながら新しい価値をつくる取り組みが、地域の未来に寄与することを願っています」と語りました。
また、「地域の皆さまと一緒に育てていく空間でありたい」と今後の展望も示しました。

MUJI HOUSE リノベーション事業本部 本部長・豊田 輝人氏

豊田氏は、団地の魅力を最大限に活かす“必要なものを必要なだけ整える”というMUJI HOUSEの姿勢を解説しました。
今回の「プール跡ひろば」や、旧管理事務所を改修した「キュウカンサ」は、学生のアイデアや地域の声を反映したものであり、「つくる側だけでなく、使う側と一緒に考えた空間です」と強調しました。

大阪電気通信大学 学長・塩田 邦成氏

塩田氏は大学の教育理念である“実学教育”に触れ、「学生が学びを地域のリアルな課題に接続し、解決に向き合う経験になった」と語りました。
学生たちが地域の声を聞き、実地で設計〜DIY制作まで関わる学びの価値について深く感謝を述べられました。

無印良品によるアンケート調査と住戸リノベの方向性

MUJI×URでは、共用部だけでなく住戸のアップデートも並行して検討されています。
アンケート調査では住民の暮らし方や収納ニーズ、生活動線の課題が集められ、その結果を踏まえて、従来の住戸にMUJI×UR共同開発パーツを加えた新提案「Parts Room」が公開されました。

“すべてを刷新するのではなく、必要な部分を足し引きする”MUJIらしい住空間の考え方が明確に示されています。

学生による企画・制作。「キュウカンサ」は学生が地域に向けてひらいた“対話の場”へ

「キュウカンサ」は学生が地域に向けてひらいた“対話の場”へ

MUJI HOUSE監修のもと、学生は旧管理事務所を「キュウカンサ」という新たな名称でリノベーションしました。

地域の使い方を調査し、必要な什器を設計、DIYでテーブル、収納、掲示ツールなどを制作。
団地の方と一緒に手を動かすワークショップも行い、地域に自然と人が集まる“第三の場所”をつくり上げました。

当日は学生自身が、プロジェクトへ関わってみて得た気づきや、地域との関わりから生まれた視点を生の声で語りました。

地域を巻き込んだ“広場”へ

プール跡ひろばが新たな交流の場に

MUJI HOUSEが新たに設計した「プール跡ひろば」は、かつてのプールを地域交流拠点へと生まれ変わらせた大規模リノベーションです。

また、お披露目会では、SPRINGひらかた珈琲倶楽部によるハンドドリップコーヒーが振る舞われ、団地内外の来場者が新しい空間で自然に交流するイベントが和やかに行われました。

これからの団地を「ともにつくる」プロジェクトへ

MUJI×UR団地まるごとリノベーションプロジェクトは、住まいの更新だけではなく、地域と未来をともに描く“共創プロジェクト”として新しい段階に入りました。

学生の実学教育、MUJI HOUSEの空間設計、URの公的ノウハウ、そして地域の生活者の声。
それぞれが有機的につながり、団地のポテンシャルを最大限に引き出す取り組みが始まっています。

引き続き、プロジェクトは地域の声を反映しながら進化を続けていく予定です。
今後の動きも大注目ですね。

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